米国の規制史上、非常に重要なときが来ています。これは世界的に、そして特にLEIに関連して、取引主体識別子管理の世界に変革をもたらすマイルストーンとなる可能性を秘めています。
米国の複数の規制当局（1）が、金融データ透明化法（FDTA）で求められているデータ標準と報告フォーマットに関する共同規則案をついに発表しました。これらの当局は、共同規則の範囲内で、LEIを取引主体識別子の共同標準として確立することを提案しました。これにより、LEIは米国の金融データに前例のない標準化、透明性、アクセシビリティをもたらすことができます。最後に、LEIは、米国の金融規制当局が10年以上前に望んでいたように（2）、金融データの「要」となる可能性を秘めています。世界中のLEIの利害関係者は、10月21日までの60日間のコンサルテーション期間内にこの提案への支持を表明することができます。GLEIFでは、皆様の迅速な行動をお願いすると共に、皆様のご支援に感謝いたします。
FDTAの目的
FDTAの目標は、連邦金融規制当局に対し、透明性と説明責任を強化する一方で、報告された情報を電子的に検索可能にする特定のデータ標準の導入を求めることです。2022年12月23日に施行されたFDTAは、その適応対象となる規制当局に対し、金融機関から各当局に報告される情報の収集と、金融安定理事会に代わって規制当局から収集されるデータに関するデータ標準を確立する規則を共同で発行することを義務付けています。数ある要件の1つとして、データ標準には、法令により指定された特定の属性を持つ取引主体識別子が含まれている必要があります。
共同規則案に関する60日間のコンサルテーション期間が10月21日に終了した後は、各当局が決定した最終規則が法定要件によって今年12月に承認されます。各実施当局がそれぞれの当局固有の規則制定を通じて採用したデータ標準は、最終的な共同規則が公布された後2年以内に発効することが求められます。これは、金融業界とデータ業界の両方から熱烈に期待されている非常に重要な新法です。その理由は、これが米国だけでなく、世界中に大きな影響を及ぼすこととなり、先例となるためです。
共通の取引主体識別子：LEIが唯一の選択肢であるべき理由
FDTAでは、他の多くの詳細事項に加えて、オープンライセンスの下で利用可能な、共通の非独占的かつ機械読取可能な取引主体識別子の導入を明示的に要求しています。これは驚くことではありません。米国の金融規制当局は、「取引主体、およびその親会社と子会社との法的関係を一意に識別する標準コード」を求めてきました。これは、2011年に「要」の文書において、金融業界が運用する金融データの基盤となる、取引主体に関する参照データの分析に「不可欠な要素」としてそれが認識されたときから望まれていたものです。
FDTAにおける共通識別子の要件は、より安価で効率的かつ容易な金融データ分析という形で公共財を提供するための、標準化された取引主体識別子の重要な必要性を反映しています。これまで、このような分析は、米国連邦政府機関全体で使用されている独自の取引主体識別子が多すぎるため、非常に困難でした（この点は、2018年にData FoundationとGLEIFが発表した「米連邦政府のための包括的な取引主体の識別の構想」というレポートで裏付けられ、定量化されています。このレポートでは、36の米国連邦政府機関で使用されている、互換性のない個々の取引主体識別システムが50近く特定されています）。
では、規制当局への報告が求められるすべての取引主体にとってLEIが唯一の選択肢である理由は何でしょうか。
LEIは、「オープンライセンスの下で利用可能な、共通で非独占的、機械読取可能な取引主体識別子」というFDTAの基準を満たすという点において比類なきものです。これには、「自発的な合意標準化団体によって開発および維持される標準」が組み込まれています。
意見を表明し、FDTAでのLEIを支持してください
規制当局では、提案された共同規則において、LEIを取引主体識別子データ標準として確立することに関する意見を求めています。特定の報告書の提出者に関連する取引主体（提出者の子会社や親会社など）を特定するためにLEIを使用することに関する意見が求められています。
規制当局ではまた、企業がLEIおよび対応する取引主体参照データを更新する義務があるかどうかについても意見を求めています。
GLEIFでは、金融機関、データベンダー、業界団体、その他の利害関係者を含むすべてのLEI支持者に対し、本日の連邦官報での公告を受けて、FDTAデータ標準および報告のための共同規則に関するライブパブリックコンサルテーションへの関与を推奨しています。G20とFSBが当初から意図していた公共の利益をLEIが確実に実現できるように、規制当局への報告が求められるすべての取引主体に対し、業界全体でのLEIへの支持を声高に、かつ明確に表明することを推奨いたします。
FDTAのデータ標準に指定識別子としてLEIを含めることは、米国の金融部門だけに利益をもたらすものではありません。米国全体にLEIの導入が拡大することで、グローバルLEIシステムが世界的に強化され、普遍的に向上した信頼と透明性が生み出され、世界経済にプラスの影響を与えることになります。FDTAデータ標準規則内の指定識別子に関する決定は、米国内外の両方で変革をもたらす可能性を秘めています。規制当局間でデータの一貫性と標準化が大きく前進したこの10年間の政策立案者の前向きな取り組みは、間違いなく称賛されるべきものです。しかし、今こそ業界が一丸となって行動を起こすときです。私たち全員で、原点に立ち返り、FDTAがLEIを金融データの要にすることを実現させる必要があります。
コンサルテーション期間は8月22日からの60日間で、10月21日に終了します。コンサルテーションのリンクは、こちらでご覧いただけます。
（1）FDTAの適用対象となる規制当局は、連邦準備制度理事会、証券取引委員会（SEC）、連邦預金保険公社（FDIC）、通貨監督庁（OCC）、消費者金融保護局（CFPB）、連邦住宅金融局（FHFA）、全米信用組合管理局（NCUA）、商品先物取引委員会（CFTC）、および財務省であり、総称して「当局」と呼ばれます。
（２）13年前、米国の金融規制当局が発表した文書において、標準化された取引主体識別子が金融データの要となることが望まれました。「要」レポートを執筆した規制の先見者たちの野望は、体系的リスクの測定と監視に不可欠な要素となる、標準化されたLEIでした。
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ピーター・ウォームズは、GLEIF（Global LEI Foundation）のビジネス開発マネージャーとして、民間部門、特に金融機関の顧客オンボーディングおよび顧客の本人確認プロセスにおいて、LEIの使用を拡大することに注力しています。ピーターの仕事は、規制当局との連携や、決済、デジタル戦略、サプライチェーン、持続可能性などの新たなビジネスユースケースを通じて、公共部門にも広がっています。また、国際標準化機構金融専門委員会（金融サービス）および標準アドバイザリーグループ（SAG）の常勤委員も務めています。
以前はBloombergのシニアマネージャーとして、金融サービス業界に金融商品グローバル識別子（FIGI）を導入する取り組みを主導していました。縦割りの資産クラスにまたがって一意の識別子を提供する、統一された記号体系の必要性を認識したピーターは、Broomberg内で、公共の利益とオープンデータ標準としてのグローバルソリューションを提供する取り組みを提唱し、推進しました。
