XBRLインターナショナルが、GLEIFとともにデジタル事業報告書内の法的主体に関する共同作業部会を設立
作業部会は、XBRLの分類法やインスタンスドキュメント内での一貫した取引主体識別子の使用に関する勧告を作成します。
2016年6月10日、XBRLインターナショナルは、XBRLインターナショナル・ベストプラクティス委員会とGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)が協力し、XBRL書類内の法的主体の参照に一貫性を持たせる最適策について完全な勧告を検討、作成するための作業部会を設立したことを発表しました。 作業部会は、XBRLの分類法やインスタンスドキュメント内での一貫した取引主体識別子(LEI)の使用に関する勧告を作成します。
XBRLは、財務、パフォーマンス、リスク、コンプライアンス情報に関するデジタル報告のための国際標準ですが、他の様々な報告にも使用されています。オープンXBRLの仕様は、利用希望者全員が自由にライセンスを取得することができます。XBRLにより、事業報告書に使用される全ての報告用語の意味や、用語同士の関係を表す再利用可能で信頼できる定義(分類法)を作成することができます。分類法は、規制当局、会計基準設定主体、政府機関や、報告が必要な要素の明確な定義を必要とするその他団体によって開発されます。XBRLは、規定される情報を制限しません。この言語は、必要に応じて拡張することができます。
LEIにより、金融取引に参加する取引主体を明確かつ一意に識別することができます。(LEIに関する詳しい情報は、下記の「関連リンク」をご覧ください。)
XBRLインターナショナルのコメントは次の通りです。LEIフレームワークは、やがて世界中で主な識別子として使用されることを目指す、XBRLインターナショナルとGLEIFの相互運用の取り組みです。(...)これにより、XBRL書類へのLEIの適用に関するガイドラインを作成することができます。これは特に金融規制当局や、証券規制当局、企業登録機関の役に立ちますが、規制やビジネスのためにXBRL標準を使用するその他団体も、その恩恵を受けることができます。
GLEIFは、デジタル事業報告におけるLEIの使用を促進するため、XBRLインターナショナルとの協力関係に非常に期待しています。
GLEIFの代表が参加する「XBRL内の法的主体に関する作業部会(LIX WG)」に与えられた権原
GLEIF代表との共同作業部会である「XBRL内の法的主体に関する作業部会(LIX WG)」(下記の「関連リンク」参照)の憲章草案とともに、XBRLインターナショナルは下記の情報を公開しました。
LIX WGは、次の課題に対応します。
- 少なくとも金融規制当局、証券規制当局、企業登録機関による既存の使用事例を含む、複数地域にわたる既存のXBRL使用事例について、主な識別要件を分析する。
- (a)報告主体の身元や、(b)必要であれば子会社や親会社、または公開が必要なその他関連組織の身元とその関係性など、XBRLで公開が必要な主な識別情報を特定する。
- LEI標準を使用して、モジュール式のグローバルな身元分類法や、取引主体同士の関係性および報告主体を表すその他フレームワークを開発する。
- XBRL報告書に含まれるLEIの検証機会を評価し、XBRLの使用にそのような検証を含めるための勧告を作成する。
- XBRL報告書内の基本的な取引主体識別子として、LEIの使用を義務化できるメカニズムの要件について勧告を行う。これはXBRLの追加仕様という形をとる可能性もありますが、他のメカニズムも検討する必要があります。
- LEIを使用してXBRL書類で公開された関係性情報の使用要件について勧告を行う。
LIX WGは、XBRLフレームワーク内でのLEIの使用や、LIX WGによるアウトプットの利用方法を紹介する白書または説明資料を作成します。LIX WGは、12ヶ月以内に作業を完了する予定です。
この共同作業部会は、XBRLインターナショナルの参加者、GLEIFメンバー、またはGLEIFに指名された代表の中から、志望者によって構成されています。
XBRLについて
XBRLインターナショナルのウェブサイトには、次のように記されています。
XBRLは、非営利のグローバルなコンソーシアムであるXBRLインターナショナルが管理する、デジタル事業報告のためのオープンな国際標準です。XBRLインターナショナルは、公益のために報告の改善に取り組んでいます。XBRLは世界50カ国以上で使用されています。従来の紙の報告書に代わり、さらに便利で、効果的、正確なデジタル版として毎年数百万部のXBRL書類が作成されています。
簡単に言うと、XBRLは、報告用語を正式に定義できる言語を提供します。これらの用語は、財務諸表や、その他コンプライアンス、パフォーマンス、ビジネスに関する報告書の内容を表すために使用できます。XBRLにより、デジタルの報告情報を組織間で素早く正確にやりとりすることができます。
紙、PDF、HTMLによる報告書からXBRLによる報告書への移行は、フィルム写真からデジタル写真への移行や、紙の地図からデジタル地図への移行にやや似ています。明確に定義され、プラットフォーム非依存で、検証可能、デジタルな情報を提供するこの新しいフォーマットにより、従来の機能に加え、新たに様々なことが可能になります。デジタルの地図と同様に、人々はXBRLフォーマットで作成されたデジタル事業報告書によって簡単にデータを使用、共有、分析し、データの価値を高めることができます。
XBRLはよく「報告書用のバーコード」とも呼ばれ、より正確、効率的な報告に役立ちます。XBRLでは報告事項に関連する個別のタグを使用することにより、以下が可能となります。
- 含まれる情報の正確な利用や分析を前提に人々が報告書を発行できる。
- 情報源に含まれる誤りを発見、回避するため、報告書を利用する人々が、事業や論理的規則に関する一連の規則と照らし合わせて報告書を検証できる。
- 異なる言語や通貨、任意のスタイルを使用して、人々がそれぞれのニーズに適した形で情報を利用できる。
- 事前に用意された精緻な定義にデータが準拠していることを前提に、人々が情報を利用できる。
包括的な定義と正確なデータタグにより、あらゆる企業情報の準備、検証、発行、交換、利用、分析が可能となります。XBRL標準を使用して作成された報告書の情報は、全く別の組織の異なる情報システムとも互換性があります。これにより、報告系統全体を通じた企業情報のやりとりが可能となります。情報の報告や、情報の共有、パフォーマンス情報の公開、情報のストレート・スルー・プロセッシングを希望する人々は、全員XBRLを使用することになります。
XBRLにより、財務諸表、リスクおよびパフォーマンス報告書など、事業報告書の概要を交換できるほか、取引にタグを追加し、それをXBRL報告書に組み込むことができます。取引関連のこうした機能により、システムに依存せずに大量の参考データをやりとりすることができ、報告サプライチェーンの変革に役立ちます。
国際XBRLコンソーシアムは、民間および公共部門の600以上のメンバー組織によって支援されています。この標準は、10年以上かけて開発、改良されており、ほぼ全種類の報告に対応し、報告書の品質、一貫性、利便性を向上する様々な機能を提供しています。XBRLは、規制当局、企業、政府、データ提供者、分析、投資家、会計士などにより、様々な方法、目的で使用されています。
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著者について:
シュテファン・ヴォルフは、2014~2024年にGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)のCEOを務めました。2024年3月以降は、国際商業会議所(ICC)の産業諮問委員会(IAB)でデジタル貿易基準の調整、採用、取り組みにまつわるグローバルプラットフォーム、デジタル標準イニシアティブを率いました。IABの議長に任命される前は2023年からIABの副議長を務めており、同年、ヴォルフはドイツの国際商業会議所(ICC)の理事にも選出されました。
ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフは、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。
この記事のタグ:
Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF), 標準, コンプライアンス