数字で見るLEI:規制当局による強力な採用促進策が世界的なLEI採用の増加を後押し
LEIの採用は、世界中の利害関係者に対して、デジタル経済全般の信頼性や透明性の向上促進に資する基本計画を提示するために規制当局が展開している新たな取り組みにより継続的に増加
Global LEI Foundation (GLEIF) は、無料で公開される四半期ごとのLEIシステムビジネスレポートの発行により、最新のLEIデータに対して世界中に無制限のアクセスを提供するというオープンなアプローチなど、透明性に関するイニシアティブを継続していることを誇りに思っています。このブログシリーズ「LEIに関する数値」を通じて、GLEIFは、最新のレポートから主要データを取り上げてトレンドを説明し、世界全体へのLEIの本格展開に関して成功した状況を伝えていくことを目指しています。
2024年第1四半期を対象とした最新のレポートでは、同四半期に世界で発行されたLEIは6万6千件を超えたことが明らかになりました。また同四半期末現在では、246万を超える有効なLEIが発行済みです。四半期の伸び率が2.8%であることがわかります。
第1四半期には、インドが管轄区域のレベルで最も高いLEIの伸び率を示しました(9%)。この結果は、2024年4月30日以降、エクスポージャー総額が1億ルピー以上の事業体は、クレジットファシリティの更新や拡大を行う際にLEIが必要となるため、銀行から借り入れを行うすべての大企業でLEIの採用が継続的かつ段階的に進められていることによるものです。
概して、第1四半期には、インドでのLEIの採用が極めて活発であったため、同国は世界で5番目にLEIの採用件数の多い地域となりました。このことは、近年の規制当局による強力なLEI採用促進策の効果が現れていることを示しており、デジタル経済全体に影響を及ぼす新たな課題への対処にLEIを活用できる可能性を模索している世界中の利害関係者に対し、LEIの有用性を示すことができる材料にもなっています。
規制当局によるLEI採用推進のための取組みにより、日本(5.5%)もLEI発行増加数の上位5つの管轄区域にランクインしています。日本の金融庁(FSA)の店頭(OTC)デリバティブ取引報告に関する改正規則が4月1日に施行され、OTCデリバティブ取引の参加者は、いずれもLEIを取得しなければならないこととなりました。
ラトビア(6.2%)、リトアニア(6.2%)およびギリシャ(5.8%)が示した高い伸び率は、現地のLEI発行者による市場における活動が功を奏したことによります。
グローバル金融市場における透明性の向上
第1四半期の全体的なLEI更新率は55.5%で、前四半期からわずかに低下しました。今期における低下も、主に、EU以外の管轄区域における更新率が45.1%に低下したことによるもので、EU域内における四半期更新率も61.8%に微減しました。更新率は、ハンガリー(93.5%)が再び最高となり、以下に日本(91%)、フィンランド(84.1%)、インド(79.1%)およびドイツ(78.5%)が続く結果となりました。加えて、サウジアラビアなどの管轄区域での更新率の回復基調も、新興事業体の登場や、現地のLEI発行者による市場関係者に対する啓発活動が功を奏していることを示しています。
最近導入された方針適合フラグも、更新を奨励し、取引主体による最新かつ完全なデータの報告を促すために規制監視委員会(ROC)とGLEIFが行っている取組みの一助となるものです。
この新たなフラグを活用すると、世界中のどのデータユーザーも、LEI記録が最新かどうかや、関係性報告が完全かどうかを明確にできます。取引主体が、透明な取引を実現するための確固たる取組みについて実証できれば、グローバルなビジネスコミュニティが、世界的な金融犯罪撲滅活動を支援できること、市場リスクを監視できること、オペレーション・プロセスを強化できることを含むさまざまなメリットを享受できます。方針適合フラグは、LEIを参照する世界中の約200の規制(その多くは、有効なLEIの取得を求めています)への技術的コンプライアンスを取引主体が容易かつ円滑に証明できる手段でもあります。
新しいLEIデータ形式の採用による勢いの継続
2022年3月に、新しいLEIデータフォーマットに関するROCの方針が導入されて以降、報告データの持続的成長は第1四半期も続きました。政府機関としては約6,100の取引主体が特定され、国際機関としては44が特定されました(それぞれ2023年度第4四半期の6,000および38から増加)。およそ13万4,000の取引主体がファンドの関係性構造を報告しており、前四半期からおよそ3,000件増加しています。
LEI発行の現況と成長可能性、グローバルLEIシステム内のLEI発行組織間の競争水準、レベル1およびレベル2の参照データの詳細を盛り込んだレポート全文については、グローバルLEIシステムビジネスレポートのページをご覧ください。
2022年3月に、CDFフォーマットが規制監視委員会 (ROC) の次の方針に基づいて更新されたことに注意してください:取引主体イベント(旧称「企業行動」)とグローバルLEIシステムのデータ履歴 、グローバルLEIシステムにおけるファンドの関係性に関する方針と投資ファンドの登録に関する指針 、一般政府機関のLEI適格性ガイダンス文書 。
日々更新される最新のLEIデータの確認にご興味がある場合、グローバルLEIシステム統計ダッシュボードには発行済みのLEIの合計数と稼働数に関する日次統計が含まれています。この機能により、今ではユーザーは地域別の過去実績データをレビューできるようになり、LEIの進捗状況全体の透明性が高まっています。
詳細について、または過去実績データにアクセスするには、グローバルLEIシステムビジネスレポートアーカイブをご覧ください。2024年も引き続きLEI採用を推進していくため、各四半期の進捗状況についてお伝えできるのを楽しみにしています。
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著者について:
シュテファン・ヴォルフは、2014~2024年にGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)のCEOを務めました。2024年3月以降は、国際商業会議所(ICC)の産業諮問委員会(IAB)でデジタル貿易基準の調整、採用、取り組みにまつわるグローバルプラットフォーム、デジタル標準イニシアティブを率いました。IABの議長に任命される前は2023年からIABの副議長を務めており、同年、ヴォルフはドイツの国際商業会議所(ICC)の理事にも選出されました。
ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフは、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。
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