数字で見るLEI: 規制の動きがアジア太平洋地域におけるLEIの採用拡大を促進
今週開催されるSibos 2024で世界の銀行業界の関係者が北京に集結する中、規制の動きによりアジア太平洋地域全体でLEIの需要が後押しされ、LEIの利害関係者にとってコンプライアンスを合理化する機会が生まれています。
Global LEI Foundation (GLEIF) は、無料で公開される四半期ごとのLEIシステムビジネスレポートの発行により、最新のLEIデータに対して世界中に無制限のアクセスを提供するというオープンなアプローチなど、透明性に関するイニシアティブを継続していることを誇りに思っています。このブログシリーズ「LEIに関する数値」を通じて、GLEIFは、最新のレポートから主要データを取り上げてトレンドを説明し、世界全体へのLEIの本格展開に関して成功した状況を伝えていくことを目指しています。
2024年第3四半期を対象とする最新のレポートでは、四半期を通じてほぼ6万7,000件のLEIが世界中で発行され、有効なLEIの総数は257万件を超えたことが明らかになっています。四半期の伸び率は2.7%となり、多くの管轄区域でのホリデーシーズンの影響を考慮すると特に高い数字です。
アジア太平洋地域におけるLEIの需要は大幅に増加する見込みであり、The Bankerの最近の分析 では、幅広いコンプライアンスの推進によりLEI導入の「プロセスが加速する」ことを示唆しています。
第3四半期においては、地域全体での規制による促進とLEI発行の増加との相関関係が顕著に表れています。ニュージーランドとオーストラリアは管轄区域レベルで最も高い伸び率を示し、LEIの発行はそれぞれ18.7%と10%増加しました。これは主に、2024年10月21日に施行されたオーストラリア証券投資委員会(ASIC)による店頭(OTC)デリバティブ取引の報告規則の改正によるものです。今回の規則改正では、取引相手識別に使用できる唯一の主体識別子としてLEIが義務付けられ、AVIDコードと企業識別コード(BIC)の使用は段階的に廃止されます。
重要なことは、地域全体に確立された検証エージェントのネットワークによって新規制への準備が支援されることにより、LEIを取得する組織にとってよりシンプルで迅速、そして実用的なサービスが導入されたことです。このことは、前四半期にこの地域でLEIの新規発行の約40%を検証エージェントが促進したと見なされる事実によって実証されています。
LEIの勢いはインドでも継続しており、第3四半期の発行件数は9.9%増加しました。LEIがインド経済にしっかりと根付いた現在、GLEIFはムンバイにオフィスを開設し、現地でのサポートを強化し、利害関係者と直接接触することで、使用の義務付け以外にもLEIが提供できる価値について啓発するとともに、さまざまなセクターにわたる新たな使用事例を模索しています。
その他の地域では、タイ(5.4%)とアラブ首長国連邦(5.3%)での採用の増加が現地のLEI発行者の市場活動によって推進されました。
更新促進の取り組みにより世界的に透明性の強化が継続
第3四半期の全体的なLEIの更新率は再び上昇して56.1%に達する中、更新率はEU管轄区域が62.2%で横ばいとなり、非EU管轄区域は46%に上昇しました。更新率は全体として日本が最も高く(91.7%)、次いでフィンランド(84.2%)、リヒテンシュタイン(79.8%)、インド(78.3%)、ドイツ(76.9%)となりました。
LEIの更新の継続的な増加は、2024年第1四半期のPolicy Conformity Flagの導入に続くもので、これは、LEIレコードが関係性の報告を伴った完全で最新のものであることを世界中のデータユーザーに明確にするために採用されました。これは、規制監視委員会(ROC)とGLEIFが、更新を奨励し、取引主体による最新で完全なデータ報告を推進することへの現在進行形の取り組みを示すものです。
2022年3月に初めて導入された新しいLEIデータ形式に関するROCの方針に関しては、約6,300の機関が政府機関として、64が国際機関として特定されました(それぞれ2024年第2四半期の6,200と52から増加)。13万7,000件を超える取引主体がファンドの関係性構造を報告しており、前四半期からおよそ2,000件増加しています。
LEI発行の現況と成長可能性、グローバルLEIシステム内のLEI発行組織間の競争水準、レベル1およびレベル2の参照データの詳細を盛り込んだレポート全文については、グローバルLEIシステムビジネスレポートのページをご覧ください。
2022年3月に、規制監視委員会 (ROC) の以下の方針に基づいてCDF形式が更新されたことにご注意ください。取引主体イベント(旧称「企業行動」)とグローバルLEIシステムのデータ履歴 、グローバルLEIシステムにおけるファンドの関係性に関する方針と投資ファンドの登録に関する指針 、一般政府機関のLEI適格性ガイダンス文書 。
日々更新される最新のLEIデータの確認にご興味がある場合、グローバルLEIシステム統計ダッシュボードには発行済みのLEIの合計数と稼働数に関する日次統計が含まれています。この機能により、今ではユーザーは地域別の過去実績データをレビューできるようになり、LEIの進捗状況全体の透明性が高まっています。
詳細について、または過去実績データにアクセスするには、グローバルLEIシステムビジネスレポートアーカイブをご覧ください。2024年も引き続きLEI採用を推進していくため、各四半期の進捗状況についてお伝えできるのを楽しみにしています。
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著者について:
アレクサンドル・ケシュはGlobal Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF) のCEOです。
GLEIF入社以前、アレクサンドル・ケシュは、SIX Digital Exchangeでデジタル証券部門の責任者を務めていました。アレックスは、取締役会のメンバーとして、販売および関係管理、製品開発、ビジネス設計、エコシステムの拡張など、デジタル証券事業部門の全責任を担っていました。
アレックスは過去25年間にわたり、BNY Mellonで金融、SWIFTで決済/証券インフラストラクチャと標準、Onchain Custodian (ONC) と最近ではCiti Venturesでブロックチェーンとデジタル資産を組み合わせたユニークなキャリアを築いてきました。アレックスはONCの共同創設者兼CEOとして、シンガポールと上海を拠点とするチームを率い、暗号資産やその他のデジタル資産の保管およびプライムブローカレッジサービスをゼロから構築しました。Citi Venturesのブロックチェーンおよびデジタル資産担当ディレクターとして、ブロックチェーン技術とデジタル資産の新しいユースケースについて、ヨーロッパのエコシステムと連携するためのチームを構築しました。
アレックスは業界および標準化の取り組みにも携わっています。ISO 24165デジタルトークン識別子(DTI)を制定したISO TC 68/SC8/WG3の議長であり、DTI Foundation製品諮問委員会のメンバーです。また、最近ではグローバルデジタルファイナンス (gdf.io) 保管ワーキンググループの共同議長も務めました。
アレックスは、Onchain Custodianの構築と並行して、翻訳の学士号と、Quantic School of Business and TechnologyのエグゼクティブMBAを取得し、理論を即座に実践に移してきました。
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