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次のステップ:LEI規制監視委員会は、取引主体の直接親会社および最終親会社のデータ収集プロセスを提案しました。

LEI規制監視委員会は、報告書「グローバルLEIシステム内の取引主体の直接親会社および最終親会社のデータ収集 – フェーズ1」を発表しました。


著者: シュテファン・ヴォルフ

  • 日付: 2016-03-11
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LEI規制監視委員会(LEI ROC)は、2015年に行ったパブリックコメント募集に続き、2016年3月10日に、「グローバルLEIシステム内の取引主体の直接親会社および最終親会社のデータ収集 – フェーズ1」(下記の「関連リンク」を参照)と題した文書を発行しました。この文書は、既存の「レベル1」LEI参照データを補完する「レベル2」データの収集プロセスに関する方針を規定するものです。

これにより、グローバルLEIデータプールでは、「誰が誰なのか」に加え、「誰が誰の親会社なのか」が分かるようになります。LEI ROCは、グローバルLEIシステムを監督するため、2013年1月に設立された世界40カ国以上、70以上の公的機関によるグループです。

LEI ROCの文書によると、組織間の関係情報の収集アプローチはいくつかの前提に基づいています。「第一に、このアプローチは漸進的なものとされています。この情報は複雑度が高いため、プロセスはできるだけ管理しやすいステップで進める必要があります。また、導入プロセスは、その後のステップで過去の経験を活用できるように構成する必要があります。第二に、会計基準に基づいた関係性が最初に収集されます。以降のフェーズでは、所有権、コントロール、その他関係に関する多くの情報が重要となる可能性がありますが、相対的なシンプルさと明確さが必要なため、全管轄で一貫して十分なサポートを受けられる指標が求められています。」最後に、第1フェーズのための導入施策では、「データはオープンかつ自由に入手可能にすべきである」という点がグローバルLEIシステムの基本原理の1つであることを認識する必要があります。

このブログ記事では、グローバルLEIシステムでの「レベル2」データの収集理由、LEI ROCによって提案されたこのデータ収集プロセスの主な機能、この方針実施の次のステップについて解説します。

まとめ:グローバルLEIシステムでの「レベル2」データの収集理由

LEI ROCの前会長マシュー・リードは、GLEIFブログの記事「グローバルLEIシステム:これまでとこれから」(下記参照)の中で、グローバルLEIシステムの創設理由について次のように述べています。「2012年、世界各国の当局は、何十年もの間、業界や規制当局の悩みの種となっていた「集団行動」の問題、つまり金融市場の参加者を識別し、データを結びつけるための要となる共通の取引主体識別システムをどのように開発、導入するか、という問題を私たちが解決する必要がある、という決定を行いました。私たちは、システムが次の3つの質問に答える必要があることに気付きました。誰が誰なのか。誰が誰の親会社なのか。誰が何を保有しているのか。」

グローバルLEIシステムは、最終的にこれらの質問に対する答えを提供するよう設計されています。一般に公開されたLEIデータプール(下記のグローバルLEIインデックスへのリンク参照)は、簡単に言うと金融市場の透明性を大幅に高めるための国際的なディレクトリーとみなすことができます。

LEIは、国際標準化機構(ISO)が定めたISO 17442に基づく20桁の英数字コードです。LEIによって参照可能な主要情報により、金融取引に参加する取引主体を明確かつ一意に識別することができます。参照データはLEIで識別可能な取引主体の情報を提供します。ISO 17442標準は、識別に最も欠かせない一連の要素またはLEI参照データを規定します。これにより、各LEIに必要な最低限の参照データが定められています。

  • 正式登記簿に記載された、取引主体の正式名
  • 取引主体の登録住所
  • 設立国
  • 国およびその下位区分の名前を表すコード
  • LEIの初取得日、LEI情報の最終更新日、LEIの有効期限(該当する場合)

取引主体とLEI発行組織が合意した追加の情報を登録できます。本日までLEI参照データで入手可能な情報は「レベル1」データと呼ばれます。このデータは、「誰が誰なのか」について答えを提供します。

LEI ROCが2016年3月に発行した文書には、「誰が誰の親会社なのか」という質問に答える「レベル2」データをLEI参照データに含めるための拡張プロセスが記載されています。

LEI ROCが提案した、「レベル2」データの収集プロセスの主な機能

LEI ROCによる文書「グローバルLEIシステム内の取引主体の直接親会社および最終親会社のデータ収集 – フェーズ1」の要旨によると、提案の主な機能は次のとおりです。

  • 漸進的アプローチ:この文書は、2016年末の導入開始を目標に、このデータ収集の第1フェーズに含めるべき優先機能を規定します。親会社のデータを追加する構想は、2012年の金融安定理事会によるLEIへの提案の中で描かれました。これにより、ユーザーに対するシステムの利便性と魅力を高めることができます。同時に、世界で420,000にのぼる取引主体がLEIを取得した現在も、システムはまだ開発の初期段階にあります。提案では、不当な費用負担や、システムの拡大を阻害する可能性のある複雑さを回避するよう努めています。LEI ROCは、この第1フェーズでは、コメントで寄せられたすべてのニーズに対応できていないことを認識しており、以降のフェーズでは関連するステークホルダーと協力し、関係性データの範囲拡大に注力していきます。
  • LEIを保有または今後取得する取引主体は、連結財務諸表を準備する最も上位の取引主体と定義される「最終連結親会社」に加え、「直接連結親会社」を報告する必要があります。どちらの場合も、親会社の識別は、この親会社に適用される連結の会計上の定義に基づきます。
  • LEI ROCは、継続企業の前提により関係性を投資家に報告するためなど、本来は異なる目的のために設計されたことによる制限を、実用的な特徴が上回ったため、会計上の定義を出発点として選択しました。実用的な特徴とは、次のとおりです。(i) 金融企業と非金融企業の両方に適用可能である、(ii) 連結範囲に関するIFRS(国際財務報告基準)とUS GAAP(米国会計基準)のさらに大きな融合により、国際的な比較可能性が向上した、(iii) 広範に使用され、一般公開されており、運用状況が外部の監査機関によって定期的に審査されている。
  • 収集された情報はグローバルLEIシステムで公開され、LEIを持たない親会社のデータ収集に関する問題を検証するための試験段階を経て、公的機関や市場参加者が自由に入手可能となります。この時グローバルLEIシステムは、該当する法的枠組みの中で、一般公開可能な関係性データのみを記録します。
  • 取引主体は関係情報をグローバルLEIシステムのLEI発行組織に報告し、LEI発行組織は、入手可能な場合は公開書類(監査済みの連結財務諸表上の子会社のリスト、承認申請など)やその他情報源を元に、関係情報を検証します。
  • 親会社の情報は、LEIの発行または更新に必要となる情報に含まれます。この際、LEI ROCによる報告書の項目3.3.1に記載された理由により、この情報の提供を拒否することができます。

項目3.3.1によると、特に、LEI ROCは、以下に挙げる限定的な理由の妥当性がLEI ROCによって「必要に応じて、経験に照らして」見直しが行われることを前提に、取引主体が親会社に関する情報の提供を拒否できるのは、これらの理由のみによるべきであるとしています。

a) 使用されている定義による親会社が存在しない。これには次の場合が含まれます。(i) グローバルLEIシステムよる親会社の定義に該当する取引主体の仲介なしに、自然人が取引主体をコントロールしている場合、(i) グローバルLEIシステムによる親会社の定義に基づき、連結財務諸表の作成を必要としない取引主体が取引主体をコントロールしている場合、(iii) 取引主体をコントロールする個人が不明の場合(分散型株式保有など)。

b) 次のような法的障害により、この情報を提供できない。(i) 管轄区域の法律または規制による障害、(ii) 取引主体に対する条項または契約など、その他法的拘束力のあるコミットメント。

c) この情報の公開が、取引主体または関係する親会社に害を及ぼす。これには、取引主体の申告を元に、公的機関によって一般的に認められた同様の理由が含まれます。

次のステップ

LEI ROCの文書は次のように結論づけています。「関係性データの収集は、グローバルな視点で見ても新しい、初めから明確に対処するのは難しい可能性のある領域を切り開くものです。このため、作業を進める中で継続的に決断を下していく必要があります。これらの決断では、次の要素を考慮する必要があります。(1) 潜在的な利点とコスト、(2) 実施可能性、(3) 特にレベル1データに関して、グローバルLEIシステムへの参加動機を阻害する可能性実施第一段階での進展を通じて、LEI ROCはGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)と密接に協力し、「このプロセスでは必ず関連するステークホルダーによる助言を得ることになっています。今後の開発ステップについては、さらに協議が行われる可能性があります。」

GLEIFは、プロジェクトの管理と、グローバルLEIシステム上の取引主体の直接親会社および最終的な親会社の情報収集に必要な組織的および技術的標準の開発に責任を持ちます。GLEIFは次のこの重要なステップの実現に向けて、このプロジェクの進捗情報を定期的に更新していきます。公開されたLEIデータプールで「誰が誰の親会社なのか」が分かることにより、グローバル市場のユーザーがLEIを導入するメリットがさらに高まります。

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著者について:

シュテファン・ヴォルフは、2014~2024年にGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)のCEOを務めました。2024年3月以降は、国際商業会議所(ICC)の産業諮問委員会(IAB)でデジタル貿易基準の調整、採用、取り組みにまつわるグローバルプラットフォーム、デジタル標準イニシアティブを率いました。IABの議長に任命される前は2023年からIABの副議長を務めており、同年、ヴォルフはドイツの国際商業会議所(ICC)の理事にも選出されました。

ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフは、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。


この記事のタグ:
Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF), データ品質, データ管理, 標準, レベル2 / 関係データ(誰が誰の親会社か), 規制監視委員会(ROC)