LEI ROCの文書によると、組織間の関係情報の収集アプローチはいくつかの前提に基づいています。「第一に、このアプローチは漸進的なものとされています。この情報は複雑度が高いため、プロセスはできるだけ管理しやすいステップで進める必要があります。また、導入プロセスは、その後のステップで過去の経験を活用できるように構成する必要があります。第二に、会計基準に基づいた関係性が最初に収集されます。以降のフェーズでは、所有権、コントロール、その他関係に関する多くの情報が重要となる可能性がありますが、相対的なシンプルさと明確さが必要なため、全管轄で一貫して十分なサポートを受けられる指標が求められています。」最後に、第1フェーズのための導入施策では、「データはオープンかつ自由に入手可能にすべきである」という点がグローバルLEIシステムの基本原理の1つであることを認識する必要があります。
LEI ROCの前会長マシュー・リードは、GLEIFブログの記事「グローバルLEIシステム:これまでとこれから」(下記参照)の中で、グローバルLEIシステムの創設理由について次のように述べています。「2012年、世界各国の当局は、何十年もの間、業界や規制当局の悩みの種となっていた「集団行動」の問題、つまり金融市場の参加者を識別し、データを結びつけるための要となる共通の取引主体識別システムをどのように開発、導入するか、という問題を私たちが解決する必要がある、という決定を行いました。私たちは、システムが次の3つの質問に答える必要があることに気付きました。誰が誰なのか。誰が誰の親会社なのか。誰が何を保有しているのか。」
a) 使用されている定義による親会社が存在しない。これには次の場合が含まれます。(i) グローバルLEIシステムよる親会社の定義に該当する取引主体の仲介なしに、自然人が取引主体をコントロールしている場合、(i) グローバルLEIシステムによる親会社の定義に基づき、連結財務諸表の作成を必要としない取引主体が取引主体をコントロールしている場合、(iii) 取引主体をコントロールする個人が不明の場合(分散型株式保有など)。
b) 次のような法的障害により、この情報を提供できない。(i) 管轄区域の法律または規制による障害、(ii) 取引主体に対する条項または契約など、その他法的拘束力のあるコミットメント。
c) この情報の公開が、取引主体または関係する親会社に害を及ぼす。これには、取引主体の申告を元に、公的機関によって一般的に認められた同様の理由が含まれます。
次のステップ
LEI ROCの文書は次のように結論づけています。「関係性データの収集は、グローバルな視点で見ても新しい、初めから明確に対処するのは難しい可能性のある領域を切り開くものです。このため、作業を進める中で継続的に決断を下していく必要があります。これらの決断では、次の要素を考慮する必要があります。(1) 潜在的な利点とコスト、(2) 実施可能性、(3) 特にレベル1データに関して、グローバルLEIシステムへの参加動機を阻害する可能性実施第一段階での進展を通じて、LEI ROCはGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)と密接に協力し、「このプロセスでは必ず関連するステークホルダーによる助言を得ることになっています。今後の開発ステップについては、さらに協議が行われる可能性があります。」