ニュースルーム&メディア GLEIFブログ

取引主体識別子ニュース:2018年1月更新

Global Legal Entity Identifier Foundationは、取引主体識別子の採用に関する最新の世界的動向の概要を提供します


著者: シュテファン・ヴォルフ

  • 日付: 2018-01-30
  • 閲覧数:

ステークホルダーの皆様が取引主体識別子(LEI)の公開に関する世界的な動向を簡単に把握できるようにするために、GLEIFはGLEIFブログを通じて関連情報の更新を行っていきます。このブログ投稿は、2017年9月からのLEIニュースをまとめています。

このブログの引用元は、「関連リンク」にまとめてあります。

貿易金融へのLEI採用を呼びかける国際商業会議所: 世界中でLEIが義務付けられれば、「顧客の本人確認(KYC)コンプライアンスのオペレーション費用削減で大変革がもたらされるだろう。」

2018年1月、Euromoneyは、「2018年貿易金融調査:貿易金融のギャップ解消」と題する記事を掲載しました。同記事では、次のように指摘しています。「新興市場の顧客に対する貿易金融の提供拡大に対する障害は、よく知られている […]それを克服するのは容易ではない」ものの、「究極の解決策は、貿易金融を機関投資家にとっての魅力的な資産に転換する[できる]か」否かを問いかけています。

これを達成可能にする手段を吟味するにあたり、同記事は、LEIを広範囲に採用すれば、コスト削減と効率の向上が果たせ、「貿易金融取引に係る多くの段階をデジタル化できる」と主張しています。参考として、マッキンゼーとGlobal Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF)が2017年10月に公表したホワイトペーパー(年一回発行)が、以下のように取り上げられました。「銀行は、LEIを国際的な取引主体の確認に用いて信用状発行の履歴追跡を自動化すれば、年間合計で2億5,000万米ドルから5億米ドルのコスト削減を見込めることになります。」Euromoneyの記事は、これらの削減額について、「マッキンゼー/GLEIFのホワイトペーパーは、最大の削減可能額が現在の世界の貿易業務のコスト基盤の4%に相当すると見なしている」と強調して大局的にみています。

国際商工会議所(ICC)はLEI採用を提唱しており、Deutsche Bankの貿易金融部門責任者でありICCの銀行委員会委員長を務めるDaniel Schmand氏は、次のように発言しています:「ICCでは、世界全体でLEI使用を義務化するロビー活動を行なう中で、国連に私たちを支援するよう働き掛けています[…]。これは、KYCコンプライアンスの業務費用の削減に大きな変革をもたらすと考えています。」 同記事では、「貿易金融を手掛ける銀行が、LEIの利用拡大の熱心な支援者であるとしてもそれほど驚くには値しません。ICCの銀行委員会もそうです[…]」と考察しています。 最後は、以下のような意見を述べるSchmandの言葉で締めくくられています。「LEIを業界標準にすることの影響は[…] 少なくとも2倍はあるでしょう。コスト削減が銀行の株主資本利益率の目標達成の支えとなる一方、貿易関連の中小企業(SME)貸付の経済性が向上すれば、オン・ボーディング費用の最小化により貿易金融のギャップをさらに埋めるのに役立つでしょう。」

当記事は、GLEIFウェブサイトでご覧いただける、「カウンターパーティ識別から事業価値へ:貿易金融におけるLEIの利用」と題するブログ記事において、GLEIFが過去に示した見方を裏付ける内容となっています。 このブログ記事において、GLEIFは、LEIによって、取引主体の確認とその履歴追跡という複雑なプロセスにおける、2つの重要業務が大幅に簡素化されると説明しています。上に概略を述べた達成可能な年間の削減見込み額に加えて、GLEIFは、LEIを利用すれば、銀行が取引主体に対してさらに総合的な視野を維持できるため、リスク管理の向上も促進されると強調しています。GLEIFは、組織が日常業務のプロセスにLEI採用を検討するよう推奨しています。上記のソースは、LEIが世界の銀行の貿易金融業務で実現できるコスト削減と効率性向上を明示し、ICCのLEIを擁護する姿勢を強調することで、この立場を支援しています。

アジア証券業金融市場協会が、香港証券取引所のストック・コネクト・プログラムにおけるノースバウンド・トレーディングについて、新たな投資家の本人確認モデルにLEI採用を提案

2017年11月、グローバル・カストディアン誌は、「香港証券取引所(HKEX)がストック・コネクト・プログラムにおけるノースバウンド・トレーディング活動(香港サイドから上海株の売買)の投資家の識別(ID)に新たなモデルを提案」と報じました。また、同記事は、2017年12月にファンズ・グローバル・アジア誌にも掲載され、業界団体のアジア証券業金融市場協会(ASIFMA)は、「この制度で、個々のファンドではなくファンドマネージゃーにID番号が発行される」ことに期待しています。ASIFMAは、LEIシステムがひな形を提供する可能性があることを示唆しました。ASIFMAのMark Austen最高経営責任者は、両方の記事において次のように述べています:「IDに関しては、国際協調の線に沿ってLEIの利用を提案しており、ほとんどの外国人機関投資家は第2次金融商品市場指令(MiFID II)への遵守に既に利用しているはずです。」

欧州連合(EU):欧州証券市場監督局がMiFID II / MIFIRに基づくLEI導入の概要を発表

2017年10月9日、欧州証券金融市場協会(ESMA)は、2018年1月3日に施行された、第2次金融商品市場指令(MiFID II)の改正と金融商品市場規則(MiFIR)に基づくLEIの要件への遵守を促進するために業界の意識を高める取り組みの一環として、LEIに関する概要を公表しました。MiFID II/MiFIRが投入する法的措置は、これまで同様の義務を一切負わっていなかったEU内外の多くの関係者にLEIの取得を求めています。MiFIRによると、投資会社は、関連報告義務が発生するサービスを提供する前に、顧客から取引主体識別子(LEI)を取得する必要があります。

2017年10月に発表したLEIに関する概要の公表を告知した概要プレスリリースにおいて、ESMAは、「市場参加者がMiFID IIに基づくLEI要件の完全遵守を確実に行なうために必要なあらゆる措置を講じること」に期待すると述べました。EMIR(欧州市場インフラ規則)の報告における過去の経験をもとに、ESMAは、事前準備を行えば未処理を回避でき、すべての市場参加者が新制度への準備を整えることができるため、報告主体がこの重要事項への対処を後回しにしないよう促しています。

2017年12月20日に公表された声明の中で、ESMAは次のように概略を示しました。「過去数週間のうちに、ESMAと各国の所轄官庁(NCA)は、すべての投資会社が、2018年1月3日のMiFIRの施行前に顧客からのLEIコードの取得に成功できるわけではないことを思い知らされました。その金融商品が欧州の取引所で売買されている取引所の非EU発行体についても、同じ状況になる可能性があります。こうした状況において、LEI要件のスムーズな導入をサポートするため、ESMAは次のとおり6ヶ月間の経過期間を認めます:

  • 投資会社は、サービスを提供する前に投資会社が顧客の代わりにLEIコードを申請するために必要な書面を当該顧客から取得することを条件に、あらかじめLEIコードを取得していない顧客に対して取引報告を提出する義務が生じるサービスを提供することができます
  • 取引所は、現在固有のLEIコードを持たない非EU発行体のLEIコードの代わりに、取引所自身のLEIコードを報告します」

MiFID II / MiFIRが定める期限前の過去数ヶ月におけるLEI母集団の際立った伸びの詳細については、このブログ記事の「2018年1月以降、LEIデータプールは世界中で100万以上の取引主体を網羅」と題する最後のセクションを参照してください。

インド:インド準備銀行が大企業の借り手にLEIを義務化

2017年10月、Indian Expressは、重要な地域開発を報道する多数のメディア会社の一つでした。ニュース記事では、「金利、為替、クレジットデリバティブの各市場でLEI使用を義務付けた後に、インド準備銀行(RBI)は、総額で5,000万ルピー以上のファンドベースやファンド以外のエクスポージャーを保有する企業にLEI使用を義務付ける方針」と確認されていました。 同記事では、LEIは「銀行が企業の借り手のリスク全体を監視するのに役立つ。銀行はまた、企業が複数のローンに同じ担保を設定するのも防げるだろう」と説明されていました。同月の同じ内容の記事で、Lexologyは、LEIが、「G20によって定められたように、[…] 金融業務に従事する取引主体を区別する。[…] 企業の所有構造に不確実性が生じた結果として、複数の課題が発生している」と指摘しました。同記事は、LEIの採用がこれらの課題に対処する実務的なアプローチになることを示唆し、「子会社を通じて運用されている金融システムの最終受益者が特定されるため、最終的な所有構造の追跡における透明性」を促進するLEIの役割を指摘しています。

2017年12月に発行されたその後の記事にで、Indian Expressは、グローバル銀行とインドの銀行との間に生じていた不良債権回収におけるギャップ縮小を検証しました。同記事は、「CRILIC[大型貸付中央情報集積センター」では、2018年3月までに100億ルピーを超えるすべての借り手に、また2019年12月までには5億ルピーを超えるすべての借り手に対する取引主体識別子の採用の義務化」が、現行破産法の改正を補完するRBIの予防措置であることを示唆しました。

RBIのウェブサイトに掲載された通知では、LEIは、リスク管理改善に向けて金融データの質と正確性を向上させる上で中心的役割を果たしているとの認識が示されていました。同通知には、「銀行は、融資総額が5億ルピーを超える既存の大企業の借り手に対して、付表に指定された予定に従ってLEIを取得するように通知するものとする」と、通知の付表を参照しつつ通告されてます。また、RBIは、「予定通りにLEIを取得していない借り手には、与信枠の更新・増額を付与すべきではない」と明言しています。RBIは、融資額5,000万から5億ルピーの借り手向けに公表された別のロードマップの期限に従い、銀行が大企業の借り手に対して、親会社、子会社、関連会社によるLEI取得の促進を求めていることを示しています。

米国:

消費者金融保護局が導入した新しいオンライン・ツールは住宅ローン情報開示法に基づく新たなLEIの要件に対応

住宅ローン情報開示法(HMDA)の改正が、2018年1月1日から義務付けられます。これらは、HMDAを実施する米国消費者保護局(CFPB)の規制Cを改正する最終決定に起因しています。GLEIFのウェブサイトで閲覧可能なブログ「米国で住宅ローンのオリジネーターをしていますか?取引主体識別子(LEI)は、住宅ローン情報開示法(HMDA)の報告において義務付けられています」に概略が示されているように、収集が求められる新しいデータポイントのうち、住宅ローンのオリジネーターのLEIと、やはりLEIを取り入れているユニバーサルローン識別子が、HMDAに基づいて記録および報告されます。施行が予定される改正に先駆けて、2017年12月終盤に、JD Supraは、CFPBがオンラインのデジタル・チェック・ツールを立ち上げ、これをHMDAに基づきデータを報告する企業が2018年1月1日から利用できるようになると報じました。これには、「この新しいツールは、改正後のHMDA規則のユニバーサルローン識別子(ULI)要件に対応している」と明記されていました。この1つは、「企業が取引主体識別子とローンやアプリケーションのIDを入力すると、2文字のチェック・ディジットが生成される」という機能になります。 

LEIは、対外直接投資のベンチマーク調査のデータに対して収集される予定です

GLEIFのウェブサイトで閲覧可能なブログ「取引主体識別子ニュース:2017年8月更新」で報告されているように、2017年7月、連邦官報 - 米国政府の日次記録で、商務省経済分析局(BEA)が米国の対外直接投資のベンチマーク調査にLEIに関する質問を盛り込むよう提案した規則案の詳細が公表されました。ベンチマーク調査は、5年ごとに実施されます。

GLEIFは、2017年12月に同ウェブサイトにおいて、米国の対外直接投資のベンチマーク調査2017 Be-12 の報告要件を定めるBEAの規制を改正する最終規則が公表されたことを報告します。この公表において、BEAは、「以下の項目がベンチマーク調査に追加されている:[…] (4)BE-12AおよびBE12Bフォームで米国の関連会社の20桁の取引主体識別子を収集するための質問を追加」と正式に発表しました。最終規則は、 2018年1月12日に施行されました。

証券取引員会の採択した規則がアドバイザーの報告強化に向けてLEIの利用を義務化

2017年8月、JD Supraは、証券取引委員会(SEC)の規則が最近施行されたことで、適用が義務付けられたフォームADVに対する複数の変更を、アドバイザーは意識すべきであると報じました。

JD Supraの「フォームADVの明確化と専門的な変更」と題する記事のあるセクションにおいて、SECは、よくある質問に対する立場を明確にするために複数の変更を採用したと説明しています。次のように述べています:「質問25.(g)は、ブローカー・ディーラーではない、またはブローカー・ディーラーであるがSECの登録識別番号を持っていない非公開ファンドのカストディアンに取引主体識別子を求めることを追加しました[…]。」同記事によると、変更は、「2017年9月31日以後に届出されたフォームADVすべてに適用される(年度末が12月31日である大部分のアドバイザーについては、報告要件の適用は、2018年3月を期限とする年次修正に最初に適用される)。」

証券取引委員会は、サイバーセキュリティに対する懸念に記載するデータ報告の延期とLEI要件に関連する新たな実施日を通達

証券取引委員会(SEC)によるフォームN-PORTに関する新しい報告書の届出遵守日の延期決定については、Investment Management Practice GroupのパートナーであるKillilyn Grecoと、DrinkerBiddleのアソシエイトであるDiana E. McCarthyが作成したプレスリリースのおかげで、2017年12月に複数の報道機関が取り上げました。フォームN-PORTは、「投資会社の開示の現代化と強化を狙ったSECによる新しい措置の一つ」です。National Law Reviewの中で説明されているように、「フォームN-PORTの遵守も、投資会社に取引主体識別子(LEI)の登録番号の取得と報告を義務付け、各シリーズ […]。フォームN-PORTについては、LEIを未登録の場合は、ファンドまたは登録者にLEIの取得を義務付ける予定であり、現時点では一時的な登録料と維持費を賄うための少額の年間手数料が必然的に発生します。[...]。最後に、まだ未登録の場合でも、ファンドについてはLEIの取得期限まで余裕があります。」

National Law Reviewは新たな報告期限についての以下の情報を提供しています:「今回の延期により、大企業の報告期限は2019年4月30日ですが、中小企業の期限は1年先の2020年4月30日になっています。ただし、純資産が10億ドル超の大手ファンド会社は、今後もフォームN-PORTの情報を社内で維持し、2018年6月1日の当初遵守日以降EDGARへのフォーム届出の代わりに要請に応じてSECが閲覧できるようにする必要があります。」

Data FoundationとLexisNexis® Risk Management がレポートを公表:「誰が誰かと、何が何か?米国における共通の取引主体識別子の必要性」

2017年9月にData Foundation のウェブサイトで報告されたように、Data FoundationとLexisNexis® Risk Solutionsは、「誰が誰かと、何が何か?米国における共通の取引主体識別子の必要性」と題する共同作成した報告書を公表しました。Data Foundationによると、同報告書は、「企業、非営利団体およびその他団体を単一かつ共通の固有識別子を使って検証する目的で、米国政府が取引主体を識別する共通の方法を採用する必要性があること」についてまとめています。15以上の政府、民間部門、ハイテク専門家が、本報告書でインタビューに応じました。こうしたニーズの解決策は既に存在します: グローバルな取引主体識別子(LEI)は、既に世界中の90を超える政府機関で使用されています。LEIは、グローバルな連合システムによって管理されている標準かつ非独占的で、検証済みの識別コードです。LEIは、既に金融業界の主要プレイヤーの支持を受けています。米国政府へのすべての報告にLEIを導入すれば、業界、政府、監督機関、そして最終的には納税者が様々な恩恵を受けます。LEIにより、すべての取引主体を電子的に単一ビューで見られるようになるため、既存の政府報告書を組み合わせれば、投資家には透明性、規制当局には効率性、取引主体にはコスト削減の効果が生じます。」

同報告書は、主題について包括的な概要を示しており、最初に米国が共通の取引主体識別を必要とする理由を説明してから、LEIの全般的な採用が解決策になる根拠を示しています。報告書では、LEIの全般的な採用についての課題が提示され、これらの課題に対処するための複数の要件がまとめられています。同報告書の揺るぎない結論の中では、取引主体識別のグローバルなシステムの価値が繰り返し述べられ、米国政府の業務全体へのLEI採用の義務化に対する執筆者の以下の提唱が繰り返し言及されています:「信頼できる相互運用が可能なグローバル・システムが構築されれば、業界、政府、監督機関、そして最終的には納税者が様々な恩恵を受けます。同システムにより、金融システムのリスク低減、政府の調達における無駄や不正の一掃、コンプライアンス自動化による企業の資金節減、データ品質の向上、ビジネス情報会社、ジャーナリスト、リサーチャー、監督機関などが提供する洞察の質の向上が実現されます。LEIこそが、そうしたシステムなのです。LEIはグローバルで、日々世界中で勢いを増しています。非独占的であり、その基礎は、オープンデータ原則にあります。LEIのデータは検証済みであり、高品質です。柔軟性が高く、様々な利用に適応させることができ、その一部はまだ考えられてもいません。米議会とホワイトハウスは、米国政府の規制および報告業務全体にLEIを採用する政府全体の動きを義務付けるべきです。」

グローバル:

グローバルLEIシステム標準:LEI規制監視委員会がファンドの関係性に関するコンサルテーションを実施

2017年9月、LEI規制監視委員会(LEI ROC)は、評価・標準委員会(CES)が作成した「グローバルLEIシステムにおけるファンドの関係性に関するコンサルテーション文書」を公表しました。同文書の概要の中では、「現在の報告書は、ファンドに影響を及ぼす関係性をグローバルLEIシステム(GLEIS)に記録する方法の更新を制限することを提案している。これは、GLEIS内で関係データの記録に統一性を持たせ、グローバルレベルでファンド関係性情報の標準化された収集を促進する手段の提供を目的としている」と指摘されました。同文書は、この提案が「レベル2」データ(関係性データ)の一部として以下の関係性を持つレベル1(取引主体の参照データ)の一部である単一の「ファンド・ファミリー」の任意報告を置き換えるため」と続けています:

  • 「ファンド管理主体」[…]。
  • 「アンブレラ・ファンド」[…]。
  • 「マスター・フィーダー」[…]。
  • 「その他のファンド・ファミリー」[…]。」

同報告書は、GLEIS内のファンドの関係性についてのデータ収集プロセスの設計に対して、パブリックコメントを募集しました。関連する質問票に対する回答は2017年11月下旬まで募集され、これらはGLEIFによる導入のためLEI ROCが承認する最終的な方針の枠組みの形成に役立つことが示されました。同報告書には、導入が「2019年1月までは実施されない予定」と記載されました。

国際通貨基金と金融安定理事会が公表した経過報告書第2版:「金融危機と情報のギャップ - G20データ・ギャップ・イニシアチブの第2フェーズ」

ルクセンブルグに置かれた欧州連合(EU)の統計局であるユーロスタットが定義したように、「G20データ・ギャップ・イニシアチブは、経済・金融統計の向上に関する20項目の一連の勧告です。」同イニシアチブは、2007~2008年の金融危機に引き起こされた市場の混乱に対応するために、経済・金融データの入手可能性と比較可能性を改善する目的で開始されました。同イニシアチブは、「経済改革、ならびに必要な改革の評価を向上させるには、政策決定者と監督機関が広範なデータセットを入手する必要があること」を強調しました。

2016年9月、「G20データ・ギャップ・イニシアチブの第2フェーズに関する経過報告書第1版(DGI-2)」は、DGI-2勧告の導入のアクションプラン案を支持するG20首脳に歓迎されました。直近では、2017年9月、国際通貨基金(IMF)と金融安定理事会(FSB)事務局の職員が、加盟国と経済・金融統計に関する各機関合同グループ(IAG)の加盟機関と密に連携し、「金融危機と情報のギャップ - G-20データ・ギャップ・イニシアチブ第2フェーズ(DGI-2)の経過報告書第2版」を作成して公表しました。同報告書は、2016年9月以降の進捗の概要をまとめており、「DGI-2のアクションプランおよび今後の予定表についてG-20の財務相や中央銀行総裁(FMCBG)の支持を求めています」。

特に重要なのは、最新の報告書のセクション4において、LEIを含め、DGI-2勧告の導入とその他の関連ワークストリームとのシナジー効果について検討されている点です。 このセクションでは、LEIのイニシアティブの世界全体への拡大が認知されています。同報告書では、2017年8月時点でLEIの発行件数は約54万件に達し、40以上の管轄区域において、50を超える国や地域のLEIに関係する法律や規則に採用されていると言及されています。(GLEIFのデータによると、2018年1月現在で、世界全体で100万件を超えるLEIが発行されました。)

また、同報告書では、LEIの広範な採用により今後もたらされる価値について、次のように認識しています:「一方で[…] LEIの]有用性は統計利用の範囲を超えており、グローバル取引主体識別子の採用が広がれば、特に粒度の細かいデータの管理と集約において、統計の編纂が大幅に向上する可能性があります。[…] また、利用の拡大により、LEIの1件当たりのコストが引き下げられ、潜在的ビジネスモデルの変化を考慮すると、金融機関以外での利用も促される可能性があります。」同様に、LEIを取得した取引主体の最終親会社と直接親会社のデータ収集を2017年5月に開始したことで、統計目的と連結会計に基づく金融安定化目的でのLEIの価値が拡大している点も指摘されています。さらに、公開されているその他の識別子のリンクにより、ユーザーにとってのLEIの価値が高まっていると断言しています。LEIから企業識別コード(BIC)および国際証券識別番号(ISIN)両方へのマッピングを開発する共同プロジェクトにおける進捗についての具体的な言及とともに、同報告書は次の認識を示しています。「公共の利益として公表する場合、これらのマッピングは、継続ベースで最新に維持される。加えて、LEIの広がりを今後活用するにあたり、既存の識別子とのリンクを確立して、統計作成に使用される既存の商業登記簿にLEIを取り込むことが現在探求されている。様々な利点の中でも、これは、金融機関以外の民間企業へのLEIの拡大に貢献し、そうした取引主体が関与するシステミック・リスクの連鎖を特定するその他の取り組みを支援することになる[…]。」

金融安定理事会が固有商品識別子(UPI)のガバナンスを協議

2017年10月、金融安定理事会(FSB)は、「FSBが固有商品識別子(UPI)のガバナンスに関するコンサルテーションを公表」と題するプレスリリースを発行しました。同リリースは、固有商品識別子(UPI)のガバナンスに関する取り決め」提案についてのコンサルテーション文書の公表を発表したものであり、同文書には、「店頭(OTC)デリバティブ市場に関する取引報告の効果的な集約を促すことを目的とした、主な統一識別子としてのグローバルUPIのガバナンスの取り決めに関する提案が記載」されています。

このコンサルテーションをLEIの観点で整理すると、2009年にG20首脳は、すべてのOTCデリバティブ取引を取引情報蓄積機関に報告する必要がある点で合意しました。金融危機の発生により特定された重要問題の一つは、OTCデリバティブ市場における透明性の欠如でした。取引報告は、これらの市場の金融安定リスクを特定して対処する上で重要な要素です。そのため、UPIは、OTCデリバティブ取引を対象とする商品の識別を目的としています。プレスリリースで説明されているように(編集者への注記セクション):「2014年9月、FSBは、集約実現可能性調査の最終報告書を公表し、同報告書は、OTCデリバティブの取引報告データを世界全体で効果的に集約できるようにするために、実施すべき複数の主要な準備段階を勧告しました。特に、同報告書は、次の段階が特定の集約モデルの選択に関係なく必要になると勧告しました:

  • OTCデリバティブのデータを充分に集約できるようにするには、統一グローバル識別子を確立するための作業、つまり個別取引識別子(UTI)とUPIに関する合意、ならびに取引主体識別子(LEI)の採用を加速する必要がある。」

2017年10月に公表されたFSBのコンサルテーション文書は、「コンサルテーションについてはUPIのガバナンスの取り決めの主な基準と機能を特定し、UPIのサービスプロバイダー、原価回収および手数料モデル、UPIシステムの基礎となる参照データ・ライブラリに関連する一部の問題について具体的なフィードバックも求めています。FSBは、様々な事業体へのUPIのガバナンス機能の割り当てと、UPIサービスプロバイダー・モデルの別の側面に関する提案についてのコンサルテーションを、2018年初頭に公表する見通しです。」

金融安定理事会が個別取引識別子(UTI)のガバナンスの取り決めと導入を公表

金融安定理事会(FSB)は2018年1月、「個別取引識別子(UTI)のガバナンスに関する取り決め:結論および導入計画」と題する追加文書を公表しました。 FSBのウェブサイトに掲載されたプレスリリースは、今回の作業が、すべてのOTCデリバティブ取引を取引情報蓄積機関に報告すべきであるとの上述のG20首脳間の合意にも関連していることを示してます。同リリースは、UTIがOTCデリバティブ取引の報告の主な国際統一された識別子であり、特に「取引報告の効果的な集約を促すように設計されている」と断言しています。同報告書は、UTIに関するガバナンスの取り決めが以下を含める必要があると結論付けています:

  • 「2020年末までに管轄区域がUTIを導入するように勧告;
  • UTIデータ標準の公表と維持を担当する体として国際標準化機構(ISO)を指定;
  • 中期的にUTIに関連する国際ガバナンス団体に割り当てるガバナンス機能を引き受ける適切な団体として、CPMI [決済・市場インフラ委員会] とIOSCO [証券監督者国際機構]を指定。

FSBは、UTIと固有商品識別子(UPI)について1つ以上の国際団体で構成される共通ガバナンスの枠組みを持つことは有益かもしれないと考えています。したがって、FSBは、UPIガバナンスに関する取り決めの結論を決定するのと同時進行的に、国際ガバナンス団体の最終的な特定を行うべきだと考えています。それに関して、FSBは最近、UPIのガバナンスに関する取り決めについて協議し、コンサルテーションの回答を公表しました[上記を参照]。  2018年にFSBは、2度目のパブリックコンサルテーションを含め、UPIのガバナンスに関する取り決めで最終結論に達する前に、業界と他のステークホルダーとの対話に関与することになります。」

10月にFSBが発行したプレスリリースと同様に(このブログの前のセクションを参照)、1月のFSBのプレスリリースの編集者への注記には、この作業項目がグローバルLEIイニシアチブとどのように関連しているかについて、以下の説明が記載されています:「2014年9月、FSBは、集約実現可能性調査の最終報告書を公表し、同報告書は、OTCデリバティブの取引報告データを世界全体で効果的に集約できるようにするために、実施すべき複数の主要な準備段階を勧告しました。特に、同報告書は、次の段階が特定の集約モデルの選択に関係なく必要になると勧告しました:

  • OTCデリバティブのデータを充分に集約できるようにするには、統一グローバル識別子を確立するための作業、つまり個別取引識別子(UTI)とUPIに関する合意、ならびに取引主体識別子(LEI)の採用を加速する必要がある。」

ProgrammableWebがGLEIFのLEI検索APIを2017年に最も興味深かったAPIの一つに選出

インターネットベースのアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)に関するニュース情報源の世界大手として位置づけられるProgrammableWebは、2017年12月下旬に「ProgrammableWebの2017年で最も興味深かったAPI:決済、銀行、ブロックチェーンおよび金融」と題する編集特集を掲載しました。この特集は、決済、銀行、仮想通貨、ブロックチェーン、金融のAPIに特化し、そのリサーチスタッフ、ウェブ・トラフィック、ソーシャルメディアのメンションに基づき、「最も興味深かったAPI」を詳細に取り上げました。

GLEIFのAPIが「トレーディングおよび他のファイナンスAPIのハイライト」のカテゴリーで評価されたことを報告できるのは、GLEIFにとって大変喜ばしいことです。エントリーの理由は次のとおりです:「Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)は、取引主体識別子(LEI)の推進や利用を支援するために設立された非営利組織です。LEIは、金融取引に参加する取引主体の識別に役立っています。GLEIFは、標準化された品質の高いオープンな取引主体参照データを提供しています。GLEIFのAPIは開発者に、完全なLEIデータプールにリアルタイムで直接アクセスし、特定のLEI記録への変更を便利な読みやすい形式で、オンデマンドで確認する機会を提供します。

LEI検索APIは2017年9月に導入されたばかりで、その興味深さに関するこうした初期の客観的な支持は、大変喜ばしいことです。このアプリケーションは、LEIデータを自動プロセスに含める方法を模索している、金融機関、規制当局、フィンテック企業およびアナリストなど、複数のLEI関係者が2017年に実施したベータテスト中に特定された市場ニーズに応えるものです。GLEIF LEI検索APIは、広くサポートされているJSONデータ形式に基づいているため、社内システムに簡単に統合することができます。APIは無料で使用することができ、登録する必要もありません。APIおよび隣接文書にアクセスするには、以下の「関連リンク」を参照してください。

2018年1月以降、LEIデータプールは世界中で100万以上の取引主体を網羅

2018年1月6日現在、LEIデータプールは世界中で100万以上の取引主体を網羅しています。2017年に、LEI母集団は、LEIの登録件数が約95万3,000件とほぼ倍増しました。2017年に発行された約50万件のLEIのうち、77%は第4四半期に発行されています。LEI発行組織が発行したLEIの件数は、2017年10月に105,525件、11月は118,195件、12月には163,059件に達しました。2017年12月には、LEIの1日の発行件数がピーク時に1万件を超えました。特にEU諸国の発行件数の伸びが高く、伸びが極めて高かったのは英国、ドイツ、オランダでした。GLEIFは、新たに発行されたLEIは、2018年1月3日に施行されたMiFID II / MiFIRへの遵守達成を目指して影響を受けた市場参加者が、その大部分を占めたとみています。

2017年第4四半期に見られた際立った伸びは、グローバルLEIシステムの頑健性と、LEI登録の急増に対処したLEI発行組織が築いた高い能力を示しています。このことは、GLEIFが毎月公表するデータ品質報告書に示されているとおり、報告期間を通じて極めて高水準のデータ品質が維持できたことで更に実証されています。

ブログにコメントされる場合は、識別用にご自分の氏名をご入力ください。コメントの隣にお名前が表示されます。電子メールアドレスは公開されません。掲示板へアクセスまたは参加されることにより、GLEIFブログポリシーに同意されたものと見なされますので、当ポリシーをよくお読みください。



過去のGLEIFブログ記事をすべて見る >
著者について:

シュテファン・ヴォルフはGlobal Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF)のCEOです。2023年、彼はドイツ国際商工会議所(ICC)の理事に就任しました。2021年には、グローバルICCデジタル標準イニシアティブ(DSI)の下部委員会として新設された産業諮問委員(IAB)に任命されました。この任のもと、信頼できる技術環境に関するワークストリームの共同議長を務めています。ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフ氏は、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。


この記事のタグ:
コンプライアンス, データ管理, 顧客の本人確認(KYC), LEI ニュース, MiFID II / MiFIR, 店頭(OTC)デリバティブ, ポリシー要件, 規制, 標準, 固有商品識別子(UPI), 個別取引識別子(UTI), 規制監視委員会(ROC)