GLEIFは、第1四半期グローバルLEIシステムビジネスレポートを公開
グローバルLEIシステムビジネスレポートでは、LEIの採用に関する主な傾向に焦点を当て、LEIデータプールの詳細な分析を提供しています。
2017年4月、Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)は第1四半期のレポートを公開しました。このレポートでは、取引主体識別子(LEI)の採用に関する主な動向をクローズアップしています。特にこのビジネスレポートでは、年間成長率や更新の予測調査、グローバルLEIシステムで運営されているLEI発行組織間の競争水準の評価、LEI更新率や参照データ検証の分析を行っています。2017年第1四半期を対象とした第1回「グローバルLEIシステムビジネスレポート」をダウンロードするには、以下の「関連リンク」にアクセスしてください。
このブログ記事では、第1回グローバルLEIシステムビジネスレポートの主な調査結果をまとめ、レポートに記載されているデータの背景情報を説明しています。引用元は、下記の「関連リンク」に記載されています。
第1回グローバルLEIシステムビジネスレポートの主な調査結果
第1回グローバルLEIシステムビジネスレポートでは、2017年第1四半期で観測された動向を分析し、以下の事項を明らかにしています。
- 2017年第1四半期末の時点で、30社のLEI発行者によって481,000以上もの有効なLEIが管理されています。これらのLEIは、199の管轄区域の取引主体です。一番の市場は米国で、現時点までのLEI総発行数の25%を占めています。
- 上位5位までの管轄はグローバルLEIシステムの有効LEI数の56%を占め、10位までの管轄は76%を占めています。
- 全体として、四半期のLEIの成長率は4%を維持しており、年率に換算すると、欧州では13%、その他の国々では19%となります。GLEIFによると、2018年1月に改訂が予定されている欧州連合(EU)の第2次金融商品市場指令(MiFID II)と金融商品市場規則(MiFIR)の実施により、欧州大陸における年間成長率は23%に達する見通しです。2017年末には有効なLEI数は551,000になるとGLEIFは予想しています。
- 管轄区域別の平均LEI更新率は66%、最小値は36%、最大値は89%です。非更新の活動はわずかに増加し、その傾向は特に米国で顕著になっています。全体の傾向が管轄区域にもたらすこうした影響は、有効なLEI全体の4分の1を占めます。
- LEI規制監視委員会と連携して更新の重要性に関する強いメッセージを発信することによって、LEIシステムの全体更新率は年末には75%に達成するとGLEIFは予想しています。
- 2017年第1四半期には、有効なLEIの管理によるLEI発行者の格付けの変更はありませんでした。上位5位までのLEI発行者は異なるビジネスモデルを実践しており、そのうち3社は195以上の管轄区域の取引主体で構成されるLEIポートフォーリオを管理しており、2社は国内市場に重点を置いています。
- LEI数の多い管轄区域では競争が最も少なく(集中度が最も高い)、LEI数の少ない管轄区域では競争が最も多くなっています。北米に最も集中度の高い市場があり、これとは対照的に、ノルウェーやスロヴァキア、ポルトガル、アイルランド、ルクセンブルグのLEI発行者にはサービスを始めるチャンスがあります。
- LEI発行者によって完全に検証されたLEIの数は、2015年第4四半期(73%)から大幅に上昇し、2016年第3四半期(89%)以降は横ばいになっています。LEI共通データファイルフォーマット(CDF)のフォーマット2.0へのバージョンアップにより、報告フォーマットを変更した結果(特に検証ソース用に標準化されたコードを導入した結果)として、LEI発行者の参照データ検証の透明性は高まります。
データの背景情報は、グローバルLEIシステムビジネスレポートに含まれています
このレポートはグローバルLEIインデックスに基づいています。グローバルLEIインデックスには、当局資料内の関連する参照データなど、過去および最新のLEIレコードが含まれています。参照データは、LEIで識別可能な取引主体の情報を提供します。グローバルLEIインデックスは、公開され、標準化され、高品質の取引主体参照データを提供する唯一のグローバルオンラインの情報源です。興味を持つ当事者は誰でも簡単に、GLEIFが開発したウェブベースのLEI検索ツールを使って、完全なLEIデータプールにアクセスし検索することができます。
LEI発行とLEI成長可能性の現況:GLEIFは、LEI規制監視委員会やLEI発行組織と連携して、グローバルLEIインデックスが将来的に、増加し続けるグローバルな金融取引に関わる企業を360度全てとらえることができるようにLEI採用率を増やす旅を続けています。四半期別グローバルLEIシステムビジネスレポートの詳細:
- 世界で発行されているLEIの総数と発行に関する最新の傾向。
- 最もLEI数が多く、新規LEI発行率が高い管轄区域。
- LEI発行者が取り組んでいる重要な活動。
- LEI全体の年間成長率予想。
グローバルLEIシステムの競争:LEI発行者は付番機関(LOU)とも呼ばれ、LEIの取得を希望する取引主体との窓口となり、登録や、更新、その他サービスを行います。取引主体は必ずしも自国に本拠を置くLEI発行者を使用する必要はなく、公認管轄区域内にある、LEIの登録を認められた任意のLOUの登録サービスを利用できます。グローバルLEIシステムは、LEI発行者間の競争を促進し、LEIを取得しようとする取引主体の利益を奨励するよう設計されています。LEIの発行および維持のためにかかる手数料がLEI発行組織にとって特に問題となっており、費用に基づいて実施する必要があります。四半期別グローバルLEIシステムビジネスレポートの詳細:
- 当該管轄区域でサービスを提供しているLEI発行者の数を基準として、LEI数が1,000以上ある最も競争の少ない市場。
- 当該管轄区域でサービスを提供しているLEI発行者の数を基準として、LEI数が1,000以上ある最も競争の多い市場。
LEI更新率:更新とは、LEI発行者が取引主体参照データを毎年サードパーティのソースと比較して、LEIにひも付けられた参照データを再認証することを意味しています。LEIを取得した取引主体は、定期的にLEIを更新する義務があります。これは、LEIを他社の識別子と区別する上での鍵となる特徴です。以下がその理由です。- 第一に、更新の仕組みは、LEIで識別できる取引主体の情報が正確であり、これまで最新の状態であることを確実にするために必要不可欠です。定期的にデータを検証するという厳格な体制を実現している、グローバルかつオープンな取引主体識別システムは他にありません。- 第二に、データのユーザーは、特定のLEIに関する情報が最近再検証されたのかどうかを認識しています。グローバルLEIシステムには、データが最後に検証された時間枠で絶対的な透明性の高さを提供する独自性があります。取引主体が、LEI参照データに記載されている「次の更新日」までにLEI登録の更新/再認定できなかった場合、当該LEIの登録ステータスは「発行済み」から「期限切れ」に変わります。四半期別グローバルLEIシステムビジネスレポートの詳細:
- 正しく更新されたLEI総数と世界中で発行されたLEI総数の比較。
- 1,000以上のLEIを有する、更新率が最も高いことを特徴とした管轄区域。
- 期限切れLEIの割合が最も高い管轄区域。
参照データ検証:取引主体の公式名称や登録住所など、今までにLEI参照データとともに入手可能になっている名刺情報は、「レベル1」データと呼ばれます。このデータは、「誰が誰か」について答えを提供します。LEI-CDFフォーマットは、LEI発行組織がLEIおよびレベル1参照データを報告する方法について定義しています。CDFフォーマットではフィールド「ValidationSources」を指定します。公開されているLEIデータコードのこのフィールドに設定されている値が「完全に検証されたLEI」である場合は、次のことを意味します。LEI記録の管理を担当のLEI発行者によって用いられる検証手続きに基づき、当局の公開ソースに、取引主体が記録として提供した情報を検証できるだけの情報が記載されている。四半期別グローバルLEIシステムビジネスレポートの詳細:
- LEI発行者の完全な検証によって発行されたLEIの総数の割合。
GLEIFは「ビジネスレポート辞書」も利用可能にしています。「ビジネスレポートディクショナリ」では、四半期別レポートでクローズアップされるLEI活動に関する報告に使用する公式やアルゴリズムを定義しています。
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著者について:
シュテファン・ヴォルフは、2014~2024年にGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)のCEOを務めました。2024年3月以降は、国際商業会議所(ICC)の産業諮問委員会(IAB)でデジタル貿易基準の調整、採用、取り組みにまつわるグローバルプラットフォーム、デジタル標準イニシアティブを率いました。IABの議長に任命される前は2023年からIABの副議長を務めており、同年、ヴォルフはドイツの国際商業会議所(ICC)の理事にも選出されました。
ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフは、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。
この記事のタグ:
Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF), グローバルLEIシステムビジネスレポート, GLEIFデータ品質管理報告書, LEI発行者(付番機関 – LOU), データ品質, データ管理, 期限切れのLEI, LEIの更新