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著者について:
ヘラルド・ハートシンクは、金融安定理事会によりGLEIFの取締役会長に任命されました。ヘラルド・ハートシンクおよび他のGLEIF取締役会メンバー全員のプロフィールは、GLEIFウェブサイトでご確認いただけます。
2018年4月、Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)は、2017年1月1日から12月31日までの期間のGLEIFの活動状況や、財務諸表、独立監査人による報告書を網羅した最新の年次報告書(以下の「関連リンク」を参照)を発行しました。
また、同報告書には、どのように取引主体識別子(LEI)データプールで利用できる情報を継続的に増やし、データ品質を達成し、データユーザーがより簡単に情報にアクセスできるようにしたかについてまとめられています。さらに、同報告書には、LEIが常に、一意の取引主体識別管理のためのオープンで信頼性の高いデータ提供に最適な業界標準であることを保証するように設計された、GLEIFの取り組みについての展望が示されています。
このブログ投稿記事で言及されているトピックに関する詳細な背景情報を示す情報源は、以下の「関連リンク」に記載されています。
財務諸表
2017年の総収入は790万米ドルとなり、純余剰金の25万2,900米ドルは、GLEIFの留保余剰金に加算されます。今回の決算は、非営利組織としてのGLEIFの目標に沿った内容となりました。LEI発行者のLEIの手数料は、2017年の承認済み予算について、19米ドルで据え置かれました。(GLEIFでは、ユーザーにサービスを無料で提供しております。2018年、GLEIFはLEI発行者から、LEIの発行や更新につき17米ドルを受け取っています。つまり、LEI発行者が、登録、更新、その他のサービスを提供し、LEIを取得しようとする取引主体の主要なインターフェースの役割を果たしています。)
LEIの成長
2017年に、LEI母集団は、LEIの登録件数が約95万3,000件とほぼ倍増しました。(2018年4月中旬時点で、世界全体で110万件を超えるLEIが取引主体に発行されました。)2017年に発行された50万件近くのLEIのうち、77%は第4四半期に発行されました。2017年にみられた高成長率は、影響を受ける市場参加者が、2018年1月3日に施行されたEUの第2次金融商品市場指令(MiFID II)と金融商品市場規則(MiFIR)の遵守達成を目指したことが背景にあると考えています。MiFIRによると、投資会社は、関連報告義務が発生するサービスを提供する前に、顧客から取引主体識別子(LEI)を取得する必要があります。欧州証券金融市場協会(ESMA)は、市場参加者がMiFID IIに基づくLEIの要件の完全遵守を保証するために必要な措置を講じると想定していることを強調しました。(2017年12月20日、ESMAは、「投資会社が顧客の代わりにLEIコードを適用するために必要な書面をサービス提供前に当該顧客から取得することを条件に、あらかじめLEIコードを取得していない顧客に対して取引報告を提出する義務が生じるサービスを提供することができる6カ月間の経過期間」を認めると通知しました。)
2017年第4四半期に見られた際立った伸びは、グローバルLEIシステムの頑健性と、LEI登録の急増に対処したLEI発行組織が築いた高い能力を示しています。このことは、GLEIFが毎月公表するデータ品質報告書に示されているとおり、報告期間を通じて極めて高水準のデータ品質が維持できたことで更に実証されています。
LEI発行者の認定
GLEIFは認定機関の役割として、LEI発行者(または「付番機関」)を目指す組織の適合性を評価します。2017年末までに、GLEIF取締役会は、合計20件のLEI発行者に対するGLEIF認定証の付与を承認しました。これらの組織はすべて、ユーザーに高品質のサービスを提供する体制を整えるための厳格な認定プロセスを通過しました。こうした認定目標の達成により、LEI規制監視委員会(LEI ROC)の承認を過去に得ていた付番機関による暫定システムが最終承認され、現在は完全に認定LEI発行者となっています。グローバルLEIシステムへの参加に関心を持つLEI発行者の数が増えていることについて大変喜ばしく思っており、競争が高まることは登録者にとってメリットとなります。
GLEIFサービスの拡張:世界中の企業の点をつなぐ
GLEIFは、人や企業がビジネスを行う相手についてより賢く、低コストで、信頼性の高い判断を下すことができる手段を提供しています。この目的を達成するために、GLEIFは引き続き、LEIのデータプール内で入手可能な情報を増やし、さらに情報にアクセスしやすくなるようにしています。これを実行しているため、データユーザーは、世界中の企業の点をつなぐことができます。
情報の増加:GLEIFは、グローバルLEIインデックスを公開しています。これには、当局の中央リポジトリーの関連参照データなど、過去および最新のLEI記録が含まれています。これは、世界的に金融取引に携わる全ての取引主体を把握できる、標準化された、質の高いオープンな取引主体参照データを提供する、最大のオンライン情報源です。2017年5月、直接親会社および最終親会社に関する関係性データを用いてデータプールを拡大するプロセスを開始しました。一言でいうと、誰が誰を所有しているかを明確にするデータを発行することにより、GLEIFは、オープンで、標準化された、高品質のLEIデータに基づき企業の点を世界的につなぐことを可能にする、唯一で無料のデータソースを提供することになります。
データ品質の継続的な改善:GLEIFはグローバルLEIシステム内のパートナーと協力し、LEIデータの品質、信頼性、有用性の最適化に注力しています。これにより、市場参加者は、LEI母集団内で利用できる豊富な情報の恩恵を受けられます。LEIが他の固有識別子と区別される主な特徴は、達成済みのデータ品質の水準に関して、完全な透明性を提供していることにあります。毎月発行されるグローバルLEIデータ品質報告書は、グローバルLEIシステムで達成済みの全体的なデータ品質の水準を示しています。さらに、2017年1月には、個々のLEI発行組織で達成済みのデータ品質の水準を分析する、LEI発行者のデータ品質報告書を導入しました。適切なテクノロジーに支えられた強力なデータ品質管理および保証メカニズムにより、さらにリスクが緩和され、ユーザーの恩恵が高まることでしょう。
アクセスが容易:GLEIFの重要な責任の一つは、オープンデータライセンスで、グローバルLEIリポジトリー全体への無料アクセスを保証することです。この目標を達成するため、GLEIFは、データユーザーがより簡単に必要な情報を検索できるように取り組んでいます。2017年9月、GLEIF LEI「検索」APIを導入しました。これにより、開発者は、完全なLEIデータプールにリアルタイムで直接アクセスし、特定のLEI記録への変更をオンデマンドで確認できます。アプリケーションは、関係者からのフィードバックに基づいて進化を続けます。
LEIを活用してビジネスの価値を高める
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、GLEIFと協力して、取引主体の確認プロセスの合理化におけるLEIの潜在的な利用事例を調査しています。ホワイトペーパー「取引主体識別子:固有カウンターパーティ識別子の価値」(The Legal Entity Identifier: The Value of the Unique Counterparty ID)は、2017年10月にマッキンゼー・アンド・カンパニーとGLEIFが共同で発表したものです。マッキンゼーは、LEIが世界全体で採用されれば、投資銀行業界で1億5,000万米ドル以上、信用状の発行において銀行は最大5億ドルを削減できると試算しています。投資銀行の年間削減額には、LEIの利用により顧客オンボーディングと取引処理に関する業務費用全体の10%削減含まれます。
同調査プロジェクトはさらに、カウンターパーティの識別と確認に必要なプロセスや、手作業を伴うプロセスにLEIを導入することによって、ビジネス界全体にとっても大きなメリットになり得ると指摘しています。メリットの例として、業務効率の向上、コスト削減、顧客との取引時間の削減、情報の信頼性の向上等が挙げられます。また、リスク管理向けのリスクデータ集約の正確性向上、顧客の本人確認(KYC)や顧客オンボーディングおよびマネーロンダリング対策(AML)のためのデューデリジェンス改善の支援、そしてその後取引主体がどこから収益を得ているかに関する戦略的マーケティング情報の提供について大きな可能性があります。
こうした理由から、デリバティブ市場の範囲を超えて、特に資本市場や短期金融市場、バンキングサービス、サプライチェーン管理、デジタルエコノミーを中心としたビジネスについてLEIの使用範囲が拡大されるとみています。
デジタル時代における画期的な取引主体識別
GLEIFの目標は、引き続き、デジタル時代と変化の速い技術開発により生じる需要に応じて、画期的なソリューションを見出し、対応することです。カウンターパーティの識別がさらに容易になるプロセスが実現すれば、今後は世界中の金融取引や商取引において自動化とデジタル化の道が開かれるでしょう。こうした理由から、デジアル認証にLEIを組み込むためのデジタルエコノミー調査プロジェクトを立ち上げました。今年終盤には、調査結果を公表できる見通しです。
ビジネスにおいて真のデジタル識別を提供することで付加価値を促すために、引き続き官民両セクターの代表者との取り組みを継続できることを心待ちにしています。
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