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今すぐ行動:GLEIFによって導入された「登録エージェント」のコンセプトは、2018年1月時点で適用されるMiFID II/MIFIRの報告要件に準拠するよう、企業を支援します。

登録エージェントは、LEI発行と関連サービスを担当するLEI発行機関のネットワークに取引主体がアクセスするのを支援します。


著者: シュテファン・ヴォルフ

  • 日付: 2017-01-10
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証券市場、投資会社、仲介業者を対象とした第2次金融商品市場指令(MiFID II)および金融商品市場規則(MiFIR)を改訂した欧州連合(EU)は、取引主体識別子(LEI)の使用要件を大幅に広げます。MiFID IIおよびMiFIRは、関連する欧州委員会委任法ならびに規制および実行技術基準とともに、2018年1月3日から適用されます。

この法的イニシアチブにより、これまでそのような義務を一切負っていない多くの関係者がLEIの取得を求められるようになります。Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)は、影響を受けた市場参加者がプロセスを遅らせることによって生じるリスクを回避するために、できるだけ早くLEIを取得することの緊急性を強調しています。企業が先延ばしにするほど、遅れが生じるリスクが大きくなります。登録手続きに遅れるすべての人に、MiFID II / MiFIR開始のための時間通りのLEI取得を保証するものではありません。企業は、LEIを時間通りに取得できないと、2018年1月3日に取引できなくなることを認識しなければなりません。

LEIの発行をさらに効率化するため、GLEIFは「登録エージェント」という概念を導入しました。

登録エージェントの役割

グローバルLEIシステムにおける登録エージェントの役割は、LEI発行機関に直接関連します。

LEI発行組織(あるいは「付番機関」またはLOU)が、登録、更新、その他のサービスを提供し、LEIを取得しようとする取引主体の主要なインターフェースの役割を果たします。取引主体は必ずしも自国のLEI発行者を使用する必要はありません。管轄内のLEI登録を検証する資格を持つ認定済みの付番機関のうち、任意の組織による登録サービスを利用することができます。グローバルLEIシステムは、LEI発行者間の競争を促進し、LEIを取得しようとする取引主体の利益を奨励するよう設計されています。

グローバルLEIシステムにおける義務の遂行について、LEI発行機関を支援する第三者サービスプロバイダーとしての役割があります。

LEI発行機関の義務は、サービス内容合意書(基本契約書の付録6 )に規定されています(以下の「関連リンク」をご参照ください)。基本契約書は、GLEIFとLEI発行機関との関係を規定する契約上の枠組みです。

登録エージェントが実施する業務の内容:

  • 取引主体がLEI発行機関にLEIを申請する際の参考情報をウェブサイトに掲載する。
  • 取引主体との連絡を管理する。
  • LEIの発行または更新にかかる手数料の支払いを安全に処理または受領する。
  • LEI申請主体の存在を確認するために必要な情報を収集し、LEI発行機関に転送する。

登録エージェントには、LEIを発行したりLEIデータに編集を加えたりする責任はありません。その義務の遂行についてGLEIFに対して全責任を負うのは、常にLEI発行機関です。

登録エージェントの詳細については、RegistrationAgent@gleif.orgへの電子メールで入手できます。

MiFID II / MiFIRへの用意今すぐLEI取得

2016年4月に公開されたGLEIFのブログ記事(以下の「関連リンク」をご参照ください)にて、投資会社は、LEIに関連するMiFID II / MiFIRの下で適用される規制報告要件の遵守を確実にするために、早期行動を取る必要があることが強調されています。

2016年2月18日にDerivSourceに掲載されたクリス・ジョンソンの記事を引用して、次のように報告されました。欧州証券市場監督局(ESMA)のガイダンスは「取引に先立ってLEIが必要、『LEIがなければ取引はありえません』MiFID IIやMiFIRでは、投資への各参加者がLEIを提供する必要があります。これには、実施を行う取引主体、提出を行う取引主体、購入者、販売者、購入者の送信会社、販売者の送信フォーム(原文ママ)などが含まれます」。

「取引施設は発行者にLEIを義務付けることになります。また、注文を提出した取引主体、顧客、その他非実行仲介業者にも管理義務があります。つまり、投資会社や取引施設が、各取引報告書で複数の参加者のLEIを入手し、それを報告システムに保存し、必要な管理手順を用意する必要があります。」クリス・ジョンソンはさらに次のように強調しました。

「取引報告に利用するためには、各LEIが「有効」となっている必要があります。自動車税の更新と同じように、LEIも「有効」状態を維持するには所有者による毎年の更新が必要です。」

MiFIDの「LEIなしでは取引できない」という方針により、必要なデータがまだ存在しないことを考慮して、企業がデータ要件にできる限り早く取り組む強いインセンティブが生まれます。すべての投資会社が今すぐ取れる論理的なステップは、自分たちが所有する資産、現在の取引相手、顧客に必要なデータフィールドについて、現在入手可能なデータを調べ、欠落がないか確認することです。規制関連の市場データの欠落を他者が是正することを期待するのは、危険が大きすぎます。企業が課題の規模を把握し、自分たちのニーズが優先付けされていることを確認し、データの欠落を修正するとともに、十分な時間をとって規則に準拠した取引報告書を提出するには、今すぐカバー範囲の確認を行い、供給者や取引先と話し合う必要があります。

GLEIFは影響力のある企業にLEIを今すぐ入手するよう呼び掛けています。LEI発行機関は、LEIを取得し、登録エージェントとしての役割を果たすことに関心のある企業と協力するために、取引主体を支援する準備ができています。

欧州証券市場監督局(ESMA)は、MiFID IIとMiFIRの実用化に関する新しいQ&A文書を公表しました。

2016年12月20日、ESMAはMiFIRデータ報告に関する最新の質問・回答(Q&A)文書を公開しました(以下の「関連リンク」をご参照ください)。ESMAが記載している通り、この文書の目的は、規制データ報告の課題に関連するMiFID IIおよびMiFIRの適用における、共通の監督上の取り組みおよび実施を推進することです。MiFID IIとMiFIRの実用化に関する一般市民、市場参加者、所轄当局の疑問に対する回答です。

  • 発行者のLEI。
  • 応募日時と応募。

このQ&Aで、ESMAは、GLEIFの登録エージェント施設が「取引私設と体系化された内部執行者が、LEI申請を行った発行者のLEI発行機関のネットワークへのアクセスを支援できるようにすべき」と助言しています。

今すぐ行動。

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著者について:

シュテファン・ヴォルフは、2014~2024年にGlobal Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)のCEOを務めました。2024年3月以降は、国際商業会議所(ICC)の産業諮問委員会(IAB)でデジタル貿易基準の調整、採用、取り組みにまつわるグローバルプラットフォーム、デジタル標準イニシアティブを率いました。IABの議長に任命される前は2023年からIABの副議長を務めており、同年、ヴォルフはドイツの国際商業会議所(ICC)の理事にも選出されました。

ヴォルフ氏は、2017年1月から2020年6月まで国際標準化機構金融専門委員会FinTech専門諮問グループ(ISO TC 68 FinTech TAG)の副コンビナーを務めていました。2017年1月、ヴォルフ氏は、One World Identityが選ぶトップリーダー100人のひとりに選ばれました。ヴォルフは、データ処理およびグローバルな実施戦略の確立に関して、豊富な経験を持っています。彼はキャリアを通じて、主要なビジネスや製品開発戦略の発展をリードしてきました。また、彼は1989年にISイノベーティブ・ソフトウェア社を共同設立し、初代専務取締役を務めました。その後、同社の後継企業であるIS.テレデータAG取締役会のスポークスマンに選ばれました。同社はその後、インタラクティブ・データ・コーポレーションに買収され、ヴォルフ氏は最高技術責任者に就任しました。彼はフランクフルト・アム・マインのJ.W.ゲーテ大学で経営学の学位を取得しています。


この記事のタグ:
Global Legal Entity Identifier Foundation (GLEIF), ポリシー要件, 標準, 規制, コンプライアンス, MiFID II / MiFIR